先日参加したNPO団体「A-CON」のイベントで「GRIT 平凡でも一流になれる『やり抜く力』」という本をもらいました。プレゼント交換でたまたま回ってきたんですよ。
「GRIT」は日本語でひとことで言うと「努力と根性」みたいなものらしいです。その重要性についての本。
まじか。個人的には、それに近い信念で働いて前の会社でダメになりかけたことがあるので、たぶん今の自分としては同意できない本なんだろうなと思って読んでみました。結論からいうとやっぱり大部分が違うなと思ったんですが。(本をくれた方、すみません。)
めっちゃ働く著者
アメリカの広告代理店で起業した方の著書。「最近のアメリカでは褒めて優しくする教育が蔓延しているけどそんなんじゃダメだ。GRIT(努力・根性)が成功には不可欠なんだよ!」という主張が延々とされている本。起業した経験や世の中の偉人の成功例を挙げてその成功の秘訣として「ほらやっぱり成功者はGRITを持ってるよね」と紹介している。
努力!根性!忍耐!めっちゃ働く!気合だ!気合!
という本です。(たぶん)
本書では広告代理店として顧客へのプレゼンを行う前に
「毎週70時間かけてプレゼンの準備を行った」
「休暇はキャンセルし、午後8時のミーティングが当たり前になった。合宿をすることさえあった。」(P.45)
といったように猛烈に働き
「あなた達ほど一生懸命働くところはないと確信できたことだ」
と顧客に言われて受注を獲得。
・・・
電通かよ!
えーと、今の日本ではこういうのが問題になっているわけでして(12月29日の記事)
今の日本でこういう本を出すというのはどういうことだ?電通社員自殺の件が明るみになったのが10月で、この本が日本で出版されたのは11月…逆に狙ってるのか?(そういえば、これをくれたのは博報堂の人だった。笑)
好意的に解釈して読むと
個人的には、どんな本であったとしてもいい部分を見つけることにしているので、そんな部分も紹介。(そうしないとせっかくの読書が無駄になってしまう。)
筆者が広告代理店で働く前のエピソードで役者になろうとしたときの話。
自分にはコメディアン女優としての才能が多少あるかもしれないが、目標達成までの数え切れないほどのオーディションと不合格人耐えられる気力はない、と。その場ですぐ、成功が見込めない世界で変な夢にこだわるのはやめようと決意する。(P.65)
目標はある程度の間隔で見直さなければならない。20歳のときの目標が30歳のときも通用するか?
だよね。そうだよね!
ちゃんと働く場所を選んでるじゃーん。
努力とか根性は大切ですけどね。間違った場所、環境で努力と根性を無理してやるとおかしくなるよ。
歯車にならないで済む場所、結果・利益重視に陥らず無茶させない場所、自分が熱意を持てる仕事を対象とした場所、自分のペースで働ける場所であればいいと思う。
なんかこの会社違うなと思っている人がこれ読んで「自分にはもっと努力と根性が必要か〜」ってなると逆効果な本です。
おわり
・それなりに自分に合った環境で働けてる人が読む本。
・自分に合わない働き方をしている人が読むとドツボにハマるかも。
・為末大の「諦める力」も一緒に読んでおいたほうがいいかも。
まあ、たまには自分の価値観と違う本を読むのもいいかもね。